AI顕微鏡で生きている細胞をリアルタイムで観察 ㈱トモキューブ

時々、目に見えるものより見えないものが、たくさん問題を起こしたりします。世界中を襲った新型コロナウイルスと疾病を起こす各種細菌は、目には見えませんが人間の生活を脅かします。このような感染疾患だけでなく、がんのような疾病を診断して治療するために多くの研究が行われており、これがバイオ産業を発展させる原動力となっています。その発展の根幹は微細な大きさの細胞とバクテリア、そして生体組織を観察することから始まります。人の目で観察できない微細な物質を観察するために、顕微鏡は必須の機器です。このような顕微鏡が今では単純な観察だけでなく、人工知能を利用した分析、これに基づいた体外診断まで可能なAI顕微鏡へとスペクトルが広がっています。疾病診断から治療まで、バイオ分野に多大な貢献をすると注目されているAI顕微鏡開発企業の㈱トモキューブをご紹介します。

生きている細胞を観察できるホロトモグラフィー技術

トモキューブは最高技術責任者(CTO)でありKAIST物理学科教授のパク・ヨングンが研究していた3Dホログラフィー技術が新しい産業になると見込み、光計測分野の事業家だったホン・ギヒョン代表に会って事業を一緒に準備したことから始まりました。トモキューブは生きている細胞を観察できるホロトモグラフィー(Holotomography, HT)技術とバイオ人工知能画像解析分野において独歩的な技術力を確保し、AI顕微鏡を開発しています。

現在、研究に活用されているほとんどの蛍光顕微鏡は、細胞を固定し、遺伝子の組み換えや化学染色などを行う前処理過程が必要です。この過程で細胞が死んだり変形したりするため、生きている細胞をそのまま観察することが難しく、細胞の準備時間が少なくとも数時間、長い場合一日かかります。トモキューブのHT技術はX線コンピュータ断層撮影(CT)に似た原理で作用します。CT撮影が体内の臓器の密度差によってX線が透過した程度をコンピュータで再構成する方法であれば、HT技術はレーザー光線を利用して細胞の密度によって細胞を3Dで具現します。そのため、前処理過程なしに生きている細胞をそのまま観察することができ、細胞が自然に死滅するまで随時細胞撮影が可能で、立体的な構造を観察できるため、より多くの情報を得ることができます。

一週間かかっていた診断を数秒で行うAI顕微鏡

HT技術からさらにAI画像解析技術を組み合わせたAI顕微鏡は、数日かかっていた敗血症診断のためのバクテリアの区分を1秒以内に可能にしました。通常、敗血症の原因菌を調べるために、患者の血液を採取して菌を培養する検査が必要です。これは少なくとも3~5日程度の時間を要するため、患者が重篤な状態であれば、検査結果が出る前に治療を行わなければならない状況が発生することもあります。トモキューブのAI顕微鏡は敗血症を誘発するバクテリア19種に関する画像データを確保し、ディープラーニングモデルに学習させて患者のサンプルから細胞の画像を判別し、95%の正確さでバクテリア種が区別きるようになりました。敗血症のほかにも、急性白血病などの疾患の診断に対して臨床を準備しています。現在、細胞と組織のデータベースを100万件確保し、3D顕微鏡診断法に関連して国内外で30件余りの特許も取得しました。

今年で6年目を迎えるトモキューブの3Dホログラフィー顕微鏡は、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ハーバード大学、ドイツがんセンターなど、現在20ヶ国余り、50校余りの大学と研究所で活用されています。創業初期からソフトバンクベンチャーズやハンミサイエンスなど230億ウォンの投資金を確保したのに続き、最近ではシリーズC投資誘致により計442億ウォンを誘致しました。トモキューブは顕微鏡で観察した細胞データを学習させ、AIが全ての分析と診断を自ら担当するアルゴリズムを組み合わせることを目標として開発に集中しています。これにより、早い時期に疾病を診断して早期治療まで可能にするグローバル体外診断企業に生まれ変わるトモキューブの発展を世界が注目しています。

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