新薬候補物質発掘リーディングカンパニー ㈱エンソルバイオサイエンス

2001年に設立したエンソールバイオサイエンスは、新薬候補物質探索プラットフォームであるKISDD(バイオビッグデータ基盤)と共に新薬候補物質に対するターゲット/メカニズム究明のためのビッグデータ・AIを活用した予測システムであるETONSを構築しました。これを活用して世界的に治療的代案のない病気に焦点を合わせ、ペプチド基盤の標的治療剤を開発し、グローバル製薬会社への技術移転により高付加価値収益を創出することを事業モデルとしています。退行性椎間板ヘルニア治療剤のブニエル2000(Peniel2000、P2K)がアメリカのスパインバイオファーマ社に技術移転され、アメリカのFDA臨床2/3相に入る予定で、動物用骨関節炎治療剤のEAD100(製品名:ジョイントベックス)が2020年3月、グローバル10大動物製薬会社に技術移転されました。現在、骨関節炎治療剤のエンゲディ1000(Engedi1000、E1K)が国内で臨床1b相を進めており、その他三重陰性乳がん(TNBC)抗がん剤、アルツハイマー病治療剤、第1型糖尿病(T1D)治療剤など新薬候補物質を保有し、開発中です。このような新薬候補物質と技術力を基に、2020年8月には韓国中小ベンチャー企業部主管の予備ユニコーン支援企業に選ばれ、技術力と成長性が認められています。

退行性椎間板ヘルニア疾患治療剤、ブニエル2000(P2K)

退行性椎間板ヘルニア疾患(DDD)は慢性腰痛の主原因の一つで、腰痛患者の社会的活動を制限し、生活の質を低下させる主な原因で、脊椎に柔軟性を提供する脊椎骨の間の衝撃吸収組織である椎間板(InterVertebral Disc, IVD)の退行化によって発生します。世界では2億6千万人が退行性椎間板ヘルニア疾患に苦しんでいると推定されており、先進国における日常的な椎間板ヘルニアの発病率は、人の一生における60~70%と推定されています。椎間板の退行化は、老化による自然経過や徐々に非可逆的に発展して、青少年が20代に入る時点にも発生することがあり、DDDによる腰痛と運動性の低下は、一般的に30~50代の成人に多く発生します。

退行性椎間板ヘルニア治療剤である「ブニエル2000(P2K)」の1次治療目標は痛みの軽減であり、2次治療目標は椎間板組織の再生です。痛みを伴うディスク組織ではNerve Growth Factor(NGF、痛み因子)の発現と神経分布が高い状態であり、またTGF-β1の発現も高い状態ですが、P2Kを椎間板内に注射する場合、過発現したTGF-β1とP2Kが結合することでTGF-β1により増加するNGF遺伝子の発現を阻害することにより痛みを軽減する効果があります。この際に過発現したTGF-β1と結合してSmad1/5/8信号伝達を完全に阻害し、Smad2/3信号伝達を部分的に阻害することでSmad2/3信号伝達だけが活性化され、第2型コラーゲンとアグリカン遺伝子の発現を増加させます。増加した第2型コラーゲンは椎間板細胞を活性化させ、Extra Cellular Matrix(ECM、細胞外基質)成分の合成を誘導し、また椎間板の軟骨細胞を髄核細胞の前段階である大きな脊索細胞(notochordal cell)のようにすることで椎間板の再生を促進します。

退行性関節炎疾患治療剤、エンゲディ1000(E1K)

退行性関節炎は退行性関節疾患、骨関節炎とも呼ばれ、徐々に関節軟骨の消失とそれにかかわる二次的変化と症状を伴う疾患です。関節を成す骨と骨の間の衝撃を吸収する関節軟骨の漸進的な損傷や退行性変化により、関節を成す骨と関節膜、周辺の靭帯などに二次的損傷が起きて痛み、変形、機能障害を起こす疾患で、関節の炎症性疾患の中で最も高い頻度を示します。市場調査機関Technavio資料(Global Osteoarthritis Therapeutics Market 2020-2024、Technavio)によると、60歳以上で男性は約10%、女性は18%が骨関節炎患者です。骨関節炎治療剤は2024年には100億ドル(約11兆ウォン)に達するものと推定されますが、現在、これは鎮痛剤中心の安価な薬物で構成された市場を基に算定されたもので、本格的な治療剤が登場すれば、市場規模はさらに大きくなる見通しです。韓国健康保険審査評価院によると、2019年には韓国の骨関節炎患者が400万人を超えると推算されています。

骨関節炎治療剤である「エンゲディ1000(E1K)」の治療方向もP2Kに類似していますが、Smad2/3信号伝達には影響を与えず、ただしSmad1/5/8信号伝達のみを抑えるという違いがあります。エンソルバイオサイエンスの退行性椎間板ヘルニア治療剤であるブニエル2000(P2K)と骨関節炎治療剤であるエンゲディ1000(E1K)は生体由来の短いペプチドです。つまり、この二つの治療剤は地球上になかった物質を化学合成によって作り出すのではなく、生体に存在するタンパク質の一部中核アミノ酸の鎖なのです。全ての脊椎動物は軟骨の退化を防ぎ再生する物質が生体内に存在するという仮説の下、主な脊椎動物に共通して存在する物質を発見し、これを薬に合成しました。エンソルバイオサイエンスは人の臨床と同時に動物の臨床を行い、まず2020年2月に動物の骨関節炎薬として承認を受け、現在約600の動物病院に納品しており、多くのペット犬の治療剤として使用されています。既存の多くの薬が動物実験では効果があり、人には効果がないことが多かったですが、エンソルバイオサイエンスのP2KとE1Kは犬などの脊椎動物だけでなく、すでに人体にも共通して存在し、機能を発揮している物質であるため、むしろ成功の可能性が高いと言えます。

E1Kは国内で臨床1a相を終えた後、先月4月に結果を発表しました。24人の患者を対象に実施された臨床の結果、安全性評価変数である活力徴候、心電図検査、実験室検査上の異常な結果および異常反応が発生しませんでした。今回の臨床でE1Kが人体にも毒性のない安全な治療剤であることが証明されたのです。また、投与後2週および4週に偽薬に対する痛み改善(VAS)傾向を示しましたが、これは動物に対する痛み改善結果とも合致する結果であり、E1Kが人にも使用できる薬としての高い成功の可能性を示しているのです。
エンソルバイオサイエンスはP2KとE1Kを通じて、近いうちに人類が退行性椎間板ヘルニアと骨関節炎疾患から解放されると確信しています。

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